台湾における特許の早期審査制度
台湾における特許の早期審査制度
作成日:2025年3月20日
1. 特許加速審査作業方案(Accelerated Examination Program, AEP)
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申請事由 |
1. 対応する外国出願が外国特許庁の実体審査を経て特許査定されたもの |
2. 対応する外国出願が、米国、日本、欧州特許庁の審査意見通知書及びサーチレポートの発行を受けたが、審査結果が出ていないもの |
3. 商業上の実施に必要なもの |
4. 発明がグリーン技術に関連するもの |
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外国特許庁 |
限定されない |
米国、日本、欧州 |
無し |
無し |
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申請時期 |
実体審査又は再審査が行われることが通知された後 |
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申請時に必要な書類 |
早期審査申請書 |
Ⅴ |
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Ⅴ |
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Ⅴ |
商業上の実施状況を明記しなければならない |
Ⅴ |
グリーン技術に関連する分野を明記しなければならない |
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対応出願のクレームとその中国語訳 |
Ⅴ |
公告された又は特許査定されたクレーム(公告されていない場合は、特許査定通知の写しが必要) |
Ⅴ |
外国特許庁の発行した審査意見通知書の根拠となるクレーム |
× |
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× |
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対応出願のクレームと台湾出願のクレームとの差異の説明 |
△ |
差異のない場合、提出不要 |
△ |
差異のない場合、提出不要 |
× |
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× |
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外国特許庁のサーチレポート/審査意見通知書 |
Ⅴ |
中国語、英語以外のものは中国語の要約が必要 |
Ⅴ |
英語以外のものは中国語の要約が必要 |
× |
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× |
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特許性を有する理由 |
△ |
出願人が審査の加速化に有利と判断した場合は、提出可能 |
△ |
対応出願の新規性又は進歩性欠如を指摘した文献がない場合は、提出不要 |
× |
|
× |
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対応出願の新規性及び進歩性欠如を指摘した非特許文献の写し |
△ |
あれば提出が必要 |
△ |
あれば提出が必要 |
× |
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× |
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出願人による商業上の実施行為の証明書類 |
× |
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× |
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Ⅴ |
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× |
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グリーン技術に関連する説明 |
× |
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× |
|
× |
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Ⅴ |
クレームに記載の発明が台湾のグリーン技術の分野に該当することの説明 |
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早期審査の政府料金 |
不要 |
不要 |
1件につき |
1件につき |
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書類が完備してから、台湾知的財産局が審査結果を発行するまでの期間 |
6ヶ月 |
クレームに差異がない場合 |
クレームに差異がある場合 |
6ヶ月 |
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6ヶ月 |
9ヶ月 |
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実際の審査時間は、出願案の技術分野により決まる |
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説明:
1. Ⅴは提出する必要がある書類、△は場合に応じて提出する書類、×は提出不要の書類。
2. 事由2での申請のためのサーチレポートとはEPOが発行したものやEPO、USPTO、JPOが発行した国際出願のISRであり、発行されていない場合は提出不要。
3. グリーン技術の定義及び例
(1) 定義:エネルギー技術、二酸化炭素(CO2)削減に係る技術及び省資源等
(2) 例:A. 代替エネルギー B. 水素・燃料電池 C. 二酸化炭素貯留 D. 廃棄物発電 E. LED照明器具 F. エコカー
以上の例に限らず、環境に配慮した製品であればグリーン技術に属する。
2. 台日特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway, PPH)
(1) 要件:以下のAからDまでの4つの要件をすべて満たす必要がある。
A. PPHを申請する台湾出願及び対応する日本出願において、優先日あるいは出願日のうち、最先の日付が同一であること。
B. 対応する日本出願が存在し、すでに特許可能と判断された一又は複数のクレームを有すること。
C. 当該台湾特許出願の全てのクレームが、対応する日本出願の特許可能と判断された一又は複数のクレームと十分に対応しているか、又は十分に対応するように補正されていること。
D. 申請提出日が、実体審査開始通知書を受領してから、最初の審査意見通知書が発行される前の間であること。
(2) 提出書類:
A. 台湾出願のクレームと対応日本出願の特許可能と判断されたクレームとの関係を示す対応表。
B. 日本特許庁の引用した非特許文献(あれば提出が必要。中国語訳は不要)。
C. 審査官の求めに応じて提出が必要なもの:台湾審査官からJPOのドシエアクセスシステムを通して対応日本出願のOAの写しとそれの訳文、又は特許可能と判断されたクレームとそれの訳文を入手できないと通知された場合は、それらの書類を提出。
3. 特許加速審査(AEP)と台日特許審査ハイウェイ(PPH)の比較表
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事項 |
特許加速審査(AEP) |
台日特許審査ハイウェイ(PPH) |
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特許請求の範囲 |
限定していないが、JPOが特許査定した特許請求の範囲と完全に同一となるように補正してもよい。ただし、クレームに差異がある場合、その差異を説明する必要がある。 |
充分に対応する必要がある。即ち、台湾の特許請求の範囲はJPOが特許査定した特許請求の範囲と完全に同一又は減縮するように補正しなければならない。 |
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案件タイプ |
発明の初審査段階及び再審査段階にある案件 |
発明の初審査段階にある案件のみ |
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申請時期 |
実体審査段階に入ってから、いつでもよい |
実体審査段階に入り、第1回OAが届く前 |
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審査期間 |
6ヶ月(クレームに差異がある場合、9ヶ月) |
2ヶ月以内 |
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2024年の |
事由 1 |
事由 2 |
事由 3 |
事由 4 |
46.5(2023年) |
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48.8 |
40.7 |
74.8 |
60.5 |
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2024年案件数 (日本籍出願人) |
69件 |
434件 |
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事由 1 |
事由 2 |
事由 3 |
事由 4 |
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66 |
3 |
0 |
0 |
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4. その他の試行中の制度
(1) スタートアップ企業向け積極型特許審査試行作業方案
A. 目的:
イノベーション創出能力を有する企業が早期に特許取得の可能性を確認して権利取得するのを支援するために導入された。
B. 施行期間:
2021年1月1日より半年間の設定であったが、好評を得て、毎年実務上のニーズに応じて改正を重ね、現在は2025年いっぱいまで試行期間が延長されている。試行状況に応じて、当局は延長や制度の改正について改めて検討する。
C. 適用対象:
a. 台湾の会社法又は外国人の本国の法律に基づき設立された、設立日から本方案申請日までの期間が8年未満の事業者(第一種企業)。
b. 2年以内に国家イノベーション賞(NEXT BIG賞、スタートアップ企業賞、国家産業イノベーション賞、国家発明創作賞)を受賞した事業者(第二種企業)。
c. 当局が政府科学技術開発計画に基づき委託した実施機関の指導を受けている事業者(第三種企業)。
D. 申請・受理件数:
a. 前記第一種企業および第二種企業の受理件数はそれぞれ1か月につき6件に限る。
b. 前記第一種企業および第二種企業の申請件数は1事業者につき年間5件に限る。
c. 前記第三種企業は受理件数の制限なし。
E. 実施内容:
a. 申請を受領してから、原則として1か月以内に自発的に出願人に面接資料を提供する。面接資料には、検索報告及びその他拒絶の理由の簡単な説明が含まれる。
b. 出願人は、面接資料を受領後1か月以内に審査官と積極型面接を行う。面接では、拒絶理由が告知されるほか、補正のための肯定的なアドバイスも積極的に提供される。
c. 知的財産局は、積極型面接を行った後1か月以内に、審査意見書又は査定書を発行する。
F. 必要書類:
a. 当局所定の電子申請フォーム。
b. 前記第一種企業または第二種企業は会社関連証明書類の電子ファイルを添付すること。
c. 前記第三種企業は財団法人専利検索センターが発行する検索報告書を添付すること。また、当該検索報告書は出願案件の特許請求の範囲に十分に対応していること。
G. 政府料金:不要
(2)産業協力面接特許審査試行作業方案
A. 目的:
審査官が先端科学技術に係る特許出願の技術内容を迅速に把握し、審査の効率化と品質向上を図るとともに、出願人の早期権利取得のニーズを満たすために導入された。
B. 先端科学技術の定義:
例えば、幹細胞再生医療、マイクロLEDディスプレイ、ニューラルネットワーク、量子コンピュータ、第3世代半導体材料、人工知能、IoT、ビッグデータ、ブロックチェーン、3Dプリント、5G等の他、審査官が個別に判断した技術をいう。
C. 試行期間:
2021年11月1日より一年間を設定したが、好評を得て2026年いっぱいまで試行期間が延長されている。ただし、審査処理能力を考慮して変更や終了となる可能性がある。
D. 必要書類:
申請書(審査官が自発的に本作業方案の適用可能を判断した場合は不要。)
E. 政府料金:申請及び面接の政府料金は不要。
F. 実施内容:
a. 同一出願者且つ技術的に関連する出願案件は原則として10件までまとめ審査できる。
b. 申請書を受領してから、審査官が職権により産業協力特許審査面接方案の適用を個別に判断する。
(3) スタートアップ企業向け積極型特許審査と産業協力面接特許審査の比較表
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事項 |
スタートアップ企業向け積極型特許審査方案 |
産業協力特許審査面接方案 |
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試行期間 |
2025年12月31日まで |
2026年12月31日まで |
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適用対象 |
設立日から本方案申請日までの期間が 8 年未満の事業者 |
無制限 |
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受理件数 |
1か月につき6件に限る |
審査処理能力に応じて調整する |
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技術分野 |
無制限 |
審査官が個別に判断する先端科学技術 |
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まとめ審査 |
出願案件ごとに申請 |
原則として10件以下 |
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面接参加者 |
無制限 |
出願内容に係る技術者が参加する必要がある |
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政府料金 |
不要 |
不要 |